桔梗色(ききょういろ)

桔梗色(ききょういろ) 紫色系統

色名・別名・系統

色名(かな) 桔梗色(ききょういろ)
別名 桔梗染(ききょうぞめ)
系統 紫色系統

桔梗色の色情報・カラーコード

Webカラー(HTML) #6450A1
RGB R:100 G:80 B:161
CMYK C:72% M:80% Y:0% K:0%

桔梗色について

桔梗色は桔梗の花色を思わせる濃い青紫

桔梗色ききょういろとは、青みがかった紫色のことです。
古くは「きかういろ」とも呼ばれ、桔梗の花のような濃い青紫色を指します。
平安文学の「うつほ物語」に「桔梗色の織物の細長」、「栄花物語」には「桔梗色の表着」とあり、織色(二色の糸で別の色を表現した色)、重色(二枚の布を重ねて別の色に見立てた色)が存在し、秋の衣装に用いられました。
襲の色目では「表:二藍、裏:濃青(緑)」となっており、秋の山野に咲く、桔梗の花と葉を表しています。
ただこの頃は染め色として名は見られなかったようです。

江戸時代になると人気色になる

江戸時代になると染められるようになり、明和九年(1772)の染色指南書「諸色手染草」には、「下染めをちぐさに染、其うへへすわうにめうばん少し入染てよし。但し本紅を遣ふ時は右のごとく下染のうへへ紅染のごとく染てよし」とあります。
これは「下染めを千草色(ここでは緑系の千種色ちぐさいろではなく青系の露草色つゆくさいろ)にした後、上から明礬で発色させた蘇芳を染めるか、紅花を使う」という染め方です。
本紅は高価だったため、多くの場合には蘇芳が用いられたと思われます。

桔梗色ききょういろは文学作品にも登場し、宝永六年(1709)の近松門左衛門作の人形浄瑠璃「油殺女地獄」には桔梗色ききょういろの繻子の帯の記述があります。
歌舞伎の人気の演目「助六由縁江戸桜」で、助六の頭に占められていた鉢巻きは桔梗の花色に似ているという記述もあります。
この色は江戸紫えどむらさきといい、桔梗色ききょういろとは違いますが、紫色の例えに出てくるほど桔梗の紫は一般的なものでした。

桔梗色ききょういろは人気の色で、紅桔梗べにききょう紺桔梗こんききょう桔梗紫ききょうむらさき桔梗納戸ききょうなんどなど多くのバリエーションが作られました。
江戸時代には紫色は禁色でしたが、実際には藍と蘇芳を使った似紫にせむらさきなど、多くの紫系の色が染められました。
江戸時代には似桔梗色も染められていたらしく、元禄九年(1696年)に書かれた『当世染物鑑』には、「にせきゝやう 下染こいあさぎにして其そのうへあかね二へん染あくとめなり」という似桔梗色の染色法が書かれています。

桔梗は古くから愛された花

桔梗は日本全土に咲く花で、万葉の時代から人々から観賞されていました。
万葉集で山上憶良が詠んだ二首の歌により、桔梗は秋の七草に含まれるようになります。
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」の「朝貌の花」が桔梗だと推定されています。
桔梗は俳句では秋の季語とされていますが、実際に花が咲くのは、六月中旬から初秋の九月初旬にかけてなので、実際には夏に咲く花です。
古くは「きちかう」などと呼ばれましたが、これは桔梗が中国で生薬として使われる時の呼び名が「桔梗(キチコウ)」だったためといわれています。

桔梗の根は鎮咳、去痰、排膿作用があるとされ、生薬として利用されます。
代表的な漢方処方には、桔梗と萱草が原料の桔梗湯があります。
桔梗の花を模した「桔梗紋」は多くの武将の家紋として使われ、有名なのは美濃の山県氏、土岐氏一族で、土岐氏の支流である明智光秀も桔梗紋を使っていたそうです。