夜色(やしょく)

夜色(やしょく) 光・炎・夜・闇などの色言葉一覧

夜色について

夜色とは夜の景色や夜の気配の事

夜色とは、夜の景色のことを指しますが、夜の色合いや気配など夜から感じ取れる風情を表現するのにも使われます。
日常会話では使われることはほとんどありませんが、文学世界では広く使われる表現です。
夜の空の色や暗闇に包まれた気配であったり、暗い夜景の表現などに使われます。

夜色は中国の漢詩などで古代から夜の景色・夜の気配を意味する言葉として使われてきました。
例えば唐代の詩人・杜牧は「紅燭秋光冷画屏 軽羅小扇撲流蛍 天階夜色涼如水 坐看牽牛織女星」という詩を詠みました。
タイトルは「秋夕(秋の夜)」といい、訳は「紅色のロウソクの秋の光が画屏(屏風のこと)を冷たく照らす うす絹の扇で流れてきた蛍を打つ 宮殿を照らす夜の光(夜色)は水のように涼しげ 牽牛・織姫の星をじっと見つめる」になります。
「秋夕」は宮怨詩というジャンルの詩で、皇帝の寵愛を失った後宮の宮女たちの悲哀をテーマにしており、織姫と彦星のように一年に一度の逢瀬もない宮女としての悲哀を詠んだ歌です。
ちなみに秋の扇は捨てられた女性の例えとされています。

日本での例として、南北朝時代の動乱を題材にした軍記物「太平記」には「正成が運や天命に叶ひけん、吹く風俄に沙を揚げて、降る雨更に篠を衝くが如し。夜色窈溟として、氈城皆帷幕を垂る。」という一節があります。
内容は「(楠木)正成の運や天命がかなったのであろうか、吹き付ける風は砂(沙)を舞い上げて、雨は篠竹(敵の侵入を防ぐために植えられた)を打ち付けるように降っていた。夜の景色(夜色)は果てしなく暗く、陣営の幕は全て下げられていた」というもので、この後天候を利用して、楠木正成は赤坂城を脱出し、敵の目を欺き落ち延びていきます。